おとうさんのコート
私の父は2000年の大晦日の夜に、新世紀の幕開けを待たずに息を引き取った。あれから18年。父か着ていたコートをずっと持っている。晩年(と言うには若すぎるけど)ずっと着ていたから、多分もう25年ぐらい昔のコートになるんじゃないだろうか。
結婚する時に私が引き取ったそのコートがずっとタンスの奥にしまってあった。
結婚してから引っ越し3回。そのたびに新居に持ってきては、時々出して、うーんと悩んでまたしまう。それを繰り返していたのだけれど、この度いよいよその心の引っかかりを解消することにした。
お直しに出して私が着ることにしたのだ。ネットで幾つかリフォームやリメイクをしているところを探し、最終的に前々からずっと気になってたnucafeさんにお願いした。
11月の中頃、次男と一緒にコートを持ってお店に行った。コートが随分古いものであること、男物であることなど伝えて、もし生地自体がいたんでたら諦めます、という事も伝えたあとで、直せると思います、というお返事をもらった。
そして、待つこと約2ヶ月半。先日コートが届いた。手書きのお手紙と一緒に。
手紙には、『生地は今に無いような、
届いた日に早速着て出かけたが、本当にとっても温かい。生地も傷んでないしまだまだ着れるという。ボタンの合わせが紳士用なので、ちょっと慣れないけれどシルエットも無事に女性用に変身し、違和感なく着られる。丁寧に直してもらえたことと、これからも大事に来てくださいという旨のお手紙をいただけたことも、本当に嬉しかった。
東京に大寒波襲来していた時に、なんとも嬉しいお届け物が来てくれた。お陰で私はほっかほかである。